20051030コッペリア(8) of 床下通信オンライン

ジャンクっぽいモノモノ置き場的なナニカ。大丈夫なのか。続くのか。

「コッペリア」顛末記本編その6

ACT.3_3  窓辺の娘

 さて、館が見えるところまでやってきた一行。サムが言ったとおり、2階には外を眺めている娘がいる。「…えーと、ちょっと待ってくださいよ、サムの偵察からだいぶん経ってますよね?」うーん、ざっと数時間は経ってますね。「うわーやっぱコッペリアだ~。」 

 先ほどの相手がゴーレムだったこともあり、人形っぽいものには皆さん神経質になっております。

クエール 「玄関から行くか?それとも玄関は回避?」

ハニー 「せっかく窓が開いてるんだから、2階から潜入できない?」

アリーシア 「フィオナさんだったら、話を聞いてくれるかも知れない…。」

 そこでまたもサムが単独行動。屋敷の他の人間に悟られないように、彼女の立っている部屋の窓からひらりと潜入。

娘 「…あなたは…?」

サム 「しゃべれるのか。…あんた、コンセルの村のフィオナさんじゃな?」

娘 「…。」

 娘はうつむくが、何も喋らない。どうやら肯定の意味だろうと考え、サムは話を続ける。

サム 「村では村長…お父さんが心配しておる。なぜこのようなところに来たんじゃな?」

フィオナ 「…私はもう死んだものとお考えください。…父には死んだと伝えていただければありがたく思います。」

サム 「そうも行くまい。村に帰れないわけでもあるのかの?」

フィオナ 「…もう…元には戻れませんもの…。」

 そう言って、娘はくるりと後ろを向いた。滑らかな動き…だが、微妙に人の動きとは異なる趣がある。

サム 「…ワシらはもう1人、グリム神官を探しておる。…何があったのか知らないが、村に未練があるなら帰ったほうがよかろうよ。」

 深入りはするまい、まだ説得するチャンスはあるだろう…そう考え、サムは再び窓から仲間たちのところへと舞い戻っていった。

ACT.3_4  導師の花嫁

クエール 「『元には戻れない』…?」

ハニー 「村に帰りたくないんじゃなくて、ですか?」

ディクター 「何か事情があると考えたほうがいいでしょうね。」

シロフォン 「…魔導師だろ?で、どうも作り物っぽい動き、と。娘をさらって実験材料にした…ってとこじゃないか?」

コール 「そ、そんな!可哀想に…やっぱり村へつれて帰ってあげたほうがいいんじゃないでしょうか?」

ハニー 「…本人を納得させないことには連れ帰っても無駄なんじゃないですか?」

アリーシア 「…もしそれが本当だとするなら、グリム神官様も実験とかされて殺され…(よろり)。」

サム 「窓から見える範囲では、神官服の男など見当たらんかったぞ。…確かに若い男の姿は見えたが…あれはここに住む魔導師だと思うんじゃが。」

クエール 「とりあえず、シーフのいないこのメンバーじゃ、こっそり侵入ってわけにもいかないだろう。玄関からどかーんと攻めるしかないんじゃないか?」

ハニー 「…そんなアバウトな…。」

アリーシア 「でも、村長から頼まれて娘さんを連れにきた、って言ったら、話くらいはさせてくれるかも。…ついでにグリム神官様のことも聞けるかもしれないし。」

サム 「気持ちはわかるがのう。」

クエール 「…まっ、そこで渋ったらどかーんと攻めるしかないんじゃないのか。」

コール 「うまくいくんでしょうか…。」

ディクター 「結局、いざとなったら『どかーんと』ってことですか。」

シロフォン 「仕方ない、戦闘の想定だけはしておこうか。」

 あんまりいい案が思い浮かばないまま、一行は玄関から堂々潜入(潜…入…?)。

 玄関の扉を開けると、中のホールにたたずんでいた鎧が動き出す。

コール 「…わ…やっぱりゴーレムですか?」

シロフォン 「それっぽいな。アイアンゴーレム…かな。」

アリーシア 「待って。奥から誰か出てくる。」

 奥から出てきたのは、高価そうな衣装を身につけた若い男。なかなかにハンサムである(…一応餌なんだけど、こんな後半に餌をまいてもなあ…)が、彼もまたなにやら違和感のある動きをしているような気がする。

男 「何か御用ですか?」

ハニー 「…ここにお住まいの魔導師様ですか?私たちは、コンセルの村から来ました。」

男 「…ああ、僕も魔導師だけど…君たちの言っているのは父のことだね。村から何の用事で?」

ハニー 「村で行方知れずになったフィオナ嬢とグリム神官の行方を探しているんです。窓から女の人の姿が見えたようなので、確かめさせてください。」

男 「フィオナ?彼女は僕と結婚してここに住むことにした。村へは戻りたがらないんじゃないかな。」

アリーシア 「グリムという男の神官が訪ねてきませんでしたか?」

男 「さあ。覚えがない。」

 さて、どう言って館の中へ入り込もうか?それともどかーんと…と思案しているその時。奥のほうからフィオナが出てきた。

男 「フィオナ。村から迎えに来た人たちがいるけど…僕を置いて帰ったりはしないよね?」

 男の言い分は身勝手なもののように聞こえたが、フィオナは首肯する。

コール 「そ…そんな。お父さんが心配しているのに…。」

フィオナ 「…少し…待ってください。私が彼らと話して、帰ってもらいますから。」

 館への滞在を時間制限付きで許してもらうと、フィオナは冒険者達を客室へと招いた。

ACT.3_5  パーティの推理

 客室へと招かれた一行。時間制限はあるけれども、フィオナは彼らに友好的なようだ…というか、なんとか言いくるめて彼らを追い返そうとしてる?
 …、まあ、せっぱ詰まったら『どかーん』という作戦があるしな(作戦と言えるのか?)。

ディクター 「さっきの男は来る様子がないですね。」

フィオナ 「…約束の時間までは待ってくれると思います。…その後の安全は保証できませんから…早めに帰ってください。」

サム 「とりあえず、いくつか聞かせてもらおうかの。…グリム神官はあんたを追ってこの館を目指していたはずだ。…さっきの男はああいったが…本当にここへは来なかったのか?」

フィオナ 「来ませんでした。…たどり着けなかったのかも知れません。」

クエール 「あ~…そういえば邪魔な奴がいたな。」

アリーシア 「…あ、じゃあ、橋の近くを探せばグリムさんが…!」

シロフォン 「見ない方がいいんじゃない?ゴーレムにやられたか、溺れたか、だろうし。」

アリーシア 「…うう…やっぱり死んでるのね…。」

 ハニーがフィオナに向き直る。

ハニー 「私たちは、貴女を見つけて連れ帰ることも依頼されているんです。…お父様には、せめて居場所だけでもわかったら知らせるように言われているんですけど、結婚するにしたっていったん家に帰る訳にはいきませんか?」

フィオナ 「…それは…もうそんな事は無理だって…あなた達はわかってらっしゃるんじゃないんですか…?」

 フィオナの声音には多少なりとも感情が混じったように聞こえた。彼女はそう言うと、背中をぱくりと開いてみせる。陶器のような白い肌の下には、歯車やらカムやらが複雑に混じり合った機構が埋まり、その奥に微かに脈打つように発光している物が見えた。

シロフォン 「やっぱり、その身体は作り物だって訳ね。」

コール 「だけどどうしてそんなことに…。」

フィオナ 「…私にもよくはわかりません。…彼とは森の中で出会って…親しくなって…私、何度かここへも訪ねてきたんです。ただ、村の人じゃないし…父が反対したらどうしようかと…。…グリム神官様には相談もしたんですけど、やっぱり彼に来てもらって父に会わせたらどうかって…。」

ハニー 「ああ、それでグリム神官に仲立ちをお願いしてたのね?」

フィオナ 「はい。…けど…何日か会えない日が続いて…最後に訪ねてきた日に…いきなり途中の橋が落ちて…気が付いたらこんな身体になっていたんです。」

アリーシア 「それまで、橋は何ともなかったの?」

フィオナ 「何とも…とは…?」

ディクター 「橋(というかゴーレム)については、ご存じないようですね…。」

ハニー 「まあ、そのことについて蒸し返しても仕方ないし。…ところで、貴女の彼って、貴女と同じような身体よね?…それは最初から?」

フィオナ 「…いえ…私がこの身体になったときには…既に彼も…。」

コール 「あ、じゃあ、普通の恋人同士だったんですね。」

クエール 「じゃあ、誰がそんな風にしたんだよ?」

シロフォン 「…そういえば、父親である魔導師の姿を見ていないな。」

ディクター 「…つまり、父親である魔導師が、実の息子とその恋人を魔道実験の材料にしたってことですか?」

サム 「…まだ不明瞭な点はあるが、一応の筋は通ってるかのう。」

クエール 「魔導師の考える事ってわかんね~。」

 どうやら、黒幕は父親の魔導師(多分高レベル)で、息子もフィオナも、そして間接的にグリム神官もその毒牙にかかったらしい…とパーティの推理は固まった。「…なんか理由が弱いような~。」「いや、これはマッドなサイエンティストってことで。」「わしの才能あふれる息子に田舎娘の嫁なんぞ相応しくない」「息子も嫁も改造してしまえば舅を放り出して出ていったりしないんじゃ」などなど、プレイヤーレベルではだいぶん下世話な憶測が飛び交っていた事を付記しておきます。…や~ね、オトナってw

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