「コッペリア」顛末記本編その4
ACT.2_1 コンセルの村へ
コーラムの町からコンセルの村までは野宿込み1泊2日。道中特に危険なものにも遭遇せず、無事に目的の村が見えてきた。
ハニー 「そういえば、コンセルの村では魔導師は敬遠されているって聞いたんだけど、アリーシアとシロさんは大丈夫ですか?」
アリーシア 「大丈夫。ローブじゃなくて普通の服っぽいの着てきてるし。」
シロフォン 「あれ?オレが集めた話の中には、村にはどこかのお貴族さまの息のかかった魔導師が住んでるとかいう噂があったけど?…魔導師嫌いの多い村だったらそんな奴はいないんじゃないか?」
サム 「う~む、その魔導師が偏屈だったりすると敬遠される向きもあるんじゃないのかのう。」
シロフォン 「…一応、ターバンか何かで耳を控えめに隠しておくか。」
サム 「準備してから歩いてくるといい。ワシはひとっ飛び偵察してこよう。」
文字通りひとっ飛びしてきたけれども特に変わった様子もない。一向は村に入って祈祷所へと立ち寄る。…祈祷所は施錠されており、中に誰かがいる気配もない。
ハニー 「仕方ないですね。神殿の使いできたのですから、村長さんに話を通しておきます。」
アリーシア 「ついでに、グリム神官様のことも聞いてよね。」
村長宅へ行くと、意外な事実が判明。グリム神官は10日ほど前から行方不明なのだそうだが、それ以前から村長の娘が行方不明なのだそうで。
ハニー 「ええ?何ですかそれ~。」
ACT.2_2 娘の捜索請け負います!
村長 「ここ10日ほどグリム神官様が行方不明なのは知っております。…いや、実は、フィオナ…私の娘がその数日前から行方不明なのです。神官様に相談したところ、多少は心当たりがあるとおっしゃって…しかし、その翌日から神官様も行方不明でして…。」
話を聞き、顔を見合わせる一行。
ハニー 「…お力になれるかどうかわかりませんが、神官様を探すついでに、娘さんの居所がわかるかもしれません。…我々が村の中で話を聞きまわるのをお許し願えないでしょうか?」
申し出たところ、娘の心配な村長さんは娘の居場所がわかれば100GP、連れ戻してくれたら500GPの礼金を約束してくれた。500GPをこの人数で頭割りするとしょぼい礼金になるけど、まあついでに捜査するくらいいいよね、とメンバーも納得の様子。
まずは村長さんに頼んで、フィオナの部屋を見せてもらう。出て行ったときそのままの部屋だそうだが、年頃の娘らしくそれなりに片付けられている。日記や手記などは見つからない(紙は高いしなあ)。なくなっているのは村祭りに来て出るようなちょっといい服が一揃い。…そしてなぜか、かぼちゃをくりぬいたランタンのような飾りが出てくる。
クエール 「…多少の金を持って出たとしても、遠出をするような支度はしてないってことか。」
ディクター 「家出するにしても、理由が見当たりませんけど。」
コール 「人には言えない理由があったのかもしれませんよ~?」
シロフォン 「でも、若い娘が一人消えて、若い男の神官が一人消えてるんなら、駆け落ちという線も考えられなくないか?」
アリーシア 「ええっ!?がーん。」
乙女がひとりでショック受けて盛り上がってますがw
ハニー 「まあ、その線も想定に入れるだけは入れておいたほうがいいわね。…村には酒場があるようだし、夕食がてら噂を拾いに行く?」
コール 「お…お金が…。」
酒場に入れないワシとか貧乏人とかいろいろいるっぽいので、ハニーが交渉して、祈祷所を対策本部として借りることにした。路銀に余裕のあるメンバー、やりたいことのあるメンバーが酒場へと向かう。神官2人は祈祷所の掃除、コールも手伝い。サムは祈祷所わきにちょうどいい木を見つけてねぐらにし、他のメンバーは酒場へ。得られた情報は以下のとおり。
・村長の娘、フィオナは年頃の娘さん。村長の奥さんも美人だったし、村一番の器量よしだろう。
・グリム神官とは個人的に会っていたようだ。いい仲なんじゃないのか。
・どちらかというと、神官様がフィオナのことを気にしていたように見える…片思い?
・グリム神官は村でもまじめな好青年として通っている。
・かぼちゃのランタンには伝説があったような…たしか魔よけとして秋祭りに使われるはず…
・北の小道をたどっていくと魔導師の館が村のある。魔導師と村人とはほとんど没交渉である。
・どこかのお使いらしい旅人が、時々北の館を訪ねていく。年に1~2回くらいか。
・ここで野菜を買い付けてお屋敷へ届けに行く商人らしき者もいる。コーラムの町から来るようだ。
アリーシア 「がーん…なんか失恋っぽい?グリムさ~ん、めそめそ。で…でも祝福してあげなくっちゃ…しくしく…。」
クエール 「湿っぽいな~。探し出して祝ってやれよ。」
乙女心は葛藤しきり。クエールは無自覚で追い討ちをかけているような気がw
シロフォン 「やっぱ、他にたいした仕事のネタはないなあ。…グリム神官が一枚かんでるんなら、神殿の執務記録とかに残ってるんじゃないのか?…それにしても、グリム神官の性格が聞いたとおりなら、いきなり駆け落ちってのは考えにくいな。」
シロフォンの発案で、神殿の執務記録を探すことに。
ACT.2_3 神殿の記録から
グリム神官の私室にあった執務記録には、娘の相談を受けたらしいこと、父親である村長の依頼を受けたこと、娘の捜索のために北へ向かう予定であることが書かれていた。
シロフォン 「あまり詳しいことは書いていないな。相談の内容とか、なぜ北なのかとか…はっきりしない。」
ディクター 「日記とは違いますから。…ただ、あんまり調べまわっているわけではないところを見ると、北へ行くには何らかの理由がありそうですね。」
コール 「北…って、たしか魔導師のお屋敷があるってところじゃなかったですか?」
クエール 「まあ、手っ取り早いのは訪ねてみることだろうな。」
サム 「…明日出向くなら、ワシがちょいと先行して屋敷周りの備えを覗いてこよう。」
祈祷所の礼拝室(全員集合できる一番大きい部屋がここだったのだ)で野郎どもがそんな話をしていると、ハニーとアリーシアが入ってくる。理由はわからないが、アリーシアは泣き腫らした目をしているではないか。
コール 「な、何かあったんですか?」
ハニー 「相談の前に装備を整理してたんだけどね…。」
アリーシア 「ぐ、グリム神官様、グリム神官様が~…えぐえぐ…。」
クエール 「何だ、、まだうだうだやってんのか?」
ハニー 「そうじゃなくって…生きてないっぽい感じなのよ…。」
冒険装備を整理して宿泊準備をしていた女の子2人。アリーシアが自分の荷物の中に『遠見の水晶球』があることを思い出し、顔見知りのグリム神官の姿を映そうと試みたところ、映らなかったというのだ。
サム 「…水晶球に映らないということは、死んでる公算が高いのう…。魔法的に隔絶された場所にいるとも考えられるが…ふむ。」
コール 「えっと、フィオナさんのほうはどうなんでしょう?」
ハニー 「アリーシアが知らない相手は探しようがないのよ。」
シロフォン 「村人の中に水晶球を使いこなせるものがいるとは思えないしなあ。」
うむむ…とうなって、一同が立てた仮説は以下の数パターン。
・グリムとフィオナは恋仲で、時間差で村を出て駆け落ちした。
・グリムとフィオナは恋仲で、2人で心中した。
・フィオナは何か悩みがあってグリムに相談していたが、家出をした。北の館に住む魔導師に関係したことで、そのためグリムは北の館へ向かったが、何らかの理由で命を落とした?
・フィオナが悪い魔導師にかどわかされ、グリムは単身それを救おうとして?
サム 「…なんかすっきりせんのう。」
ディクター 「北に向かったってことは、館に住む魔導師が一枚かんでると思うのですが…。」
クエール 「道を間違えて、狼に襲われたとかそういう単純な線は?」
ないない、それはあんただけだクエールw
アリーシア 「2人は恋人同士で、仲を妬んだ魔導師が引き裂こうと…。」
ハニー 「それってドラマチックに夢見すぎじゃあ?」
考えても事実関係がはっきりするわけじゃない。とりあえず今日は寝て、明日北の方へ行ってみるべし。